既存住宅瑕疵保険のすすめ

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中古住宅は新築と違って何の保証もないから心配だ、とよく言われます。特に戸建て住宅は劣化状況や住宅性能が建物によって異なるので、判断するのが難しいです。
今回は、中古住宅取引における不安を解消するべく国が用意した既存住宅売買瑕疵保険という制度についてご説明いたします。

■瑕疵保険とは?

住宅の品質確保の促進等に関する法律という法律で、新築の事業者(マンション・分譲住宅の売主や注文住宅の請負会社)は、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を負うことになっています。

しかし瑕疵担保責任の期間中にその事業者が倒産してしまうと、瑕疵責任が果たされない状態になり、実際に供給量が多いデベロッパーの倒産で、多くの消費者が問題を抱える事故なども発生し、事業者が倒産してしまっても消費者が保護される仕組みが作られることになりました。

設けられたのは住宅瑕疵担保履行法という法律です。新築を供給する事業者は、10年間の瑕疵担保責任を履行するために、保証金の供託もしくは瑕疵保険の加入が義務付けられました。
万が一事業者が倒産しても、問題解決のために必要なお金を予め担保しておく、安心安全な取引のための制度です。

■既存住宅売買瑕疵保険とは?

既存住宅売買瑕疵保険は、新築における瑕疵保険の中古取引版です。
ただ、中古の取引は売主が事業者の場合だけでなく、個人の場合もあります。売主が事業者の場合は最低2年間の瑕疵責任があるのですが、個人間売買では売主の瑕疵責任が明文化されていません。
対象が中古住宅であるということもあり、既存住宅売買瑕疵保険は義務ではなく、任意の制度で運用されています。

既存住宅売買瑕疵保険は、建物の構造躯体と雨水の侵入に対して、最長5年間、最大1000万円の保険制度です。(新築は10年)
冒頭に記載した「中古は何の保証もない心配」については、既存住宅売買瑕疵保険を利用すればある程度安心を得られるようになっています。

■既存住宅売買瑕疵保険の安心とは?

最長5年、最大1000万円は確かに安心材料ですが、既存住宅売買瑕疵保険の価値は、保険加入のプロセスにあります。
既存住宅売買瑕疵保険に加入するには、瑕疵保険法人が定めた検査基準に合格する必要があり、建築士による建物調査を行う必要があります。
この建物調査に合格できなかった場合は、指摘された箇所を修繕しなければなりません。

検査に過失があれば、検査を行った建築士が責任を負わなければならない仕組みなので、取引に携わる事業者以外の第3者となる建築士による検査こそが安心取引のポイントです。
既存住宅売買瑕疵保険は「検査と保証が一体となった安心の制度」と言われます。

■既存住宅売買瑕疵保険の制度に隠れた本当の安心材料

国も保険法人も表立って言いにくいのが「工事」の概念です。
そもそも中古住宅なので、何かしら悪いところがあって当たり前というのが前提で、検査で悪いところを見つけて購入時にリフォームついでに修繕しておく、というのが無理のない考え方になります。

取得時に耐用年数を超えている部位も多いと思われるので、現況で劣化が生じていないからラッキーではなく、ある程度先を見越して予防・保全の対策を講じておいて、その上で保険もついてくるというのが本当の安心材料ではないでしょうか。

個人間売買における既存住宅売買瑕疵保険の手続きを行うのは検査会社登録を行っている事業者になりますが、ここでいう検査会社は、検査のみを行っている事業者だけではなく、建築士事務所登録を行っているリフォーム会社や工務店も含まれます。

他社が行った工事を、別の会社の建築士が保証するというのは無理のある話なので、検査も工事も含めて検査会社がまとめて保証するというのが無理のない判断です。(検査会社の保証に対して保険が付きます)

国や保険法人が言う「検査と保証が一体」ではなく、検査と保証と工事が一体となった仕組みであると捉え、中古住宅購入時のリフォームは、既存住宅売買瑕疵保険の手続きができるリフォーム会社・工務店に依頼するというのが、安心安全の中古取引の最大のポイントとなります。

■住宅購入時にまとめてリフォーム

現時点で目立った劣化が指摘されない箇所でも、耐用年数を超えていて、不具合が発生すると工事費が高額になる箇所については、住宅取得時にまとめてリフォームしておくことがお勧めです。
資金に余力があって、リフォームが必要になった時でも現金で支払うことができる方なら良いのですが、リフォーム資金が足りない場合は、リフォームローンを組まなければなりません。リフォームローンは住宅ローンよりも金利が高くなりますので、そう遠くない先に工事が必要となると考えられる場合は、住宅取得時にまとめてリフォームすることで、住宅ローンに組み込むことができるので、結果的にお得になる可能性が高いです。
雨漏れの原因となりうる屋根や外壁は、工事を行うために足場を組む必要があり、リフォーム費用も高額になりがちなので、築年数が相応に経過している住宅を購入する時には併せてやっておくと安心です。

中古戸建てを検討する時は「悪いところがあって当たり前」「悪いところは購入時に直す」という前提で進めることが安心・安全な取引を実現するポイントです。

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