■屋根からの雨漏り
屋根は「野地板」という下地板の上に「ルーフィング」という防水シートを敷き、そのうえに「屋根材」が乗っています。
屋根材が何かの拍子にズレてしまう、ヒビが入ったり割れが生じたりした場合、その隙間から雨水が入り込みます。
台風などの自然災害が原因である日、突然破損してしまうこともありますし、築年数が経過したことによる劣化や破損も原因として考えられます。
屋根材は主に、昔から日本人が慣れ親しんできた「瓦」や、粘板岩を薄い板状に加工した「スレート」、アルミニウムと亜鉛を主とした合金めっき鋼板の「ガルバリウム鋼板」などがあります。
瓦は割れてしまうリスクが大きく、スレートは塗膜の効果が薄れると雨水をしみ込みやすくなり、ガルバリウム鋼板は経年劣化で錆びる可能性があります。
また、屋根材の接合部を覆う「板金」の劣化や、板金を固定したビスやクギが緩んでしまったことで隙間から雨水が入り込むケースも少なくありません。
その他、雨樋の経年劣化や積雪などによる破損、落ち葉などで詰まってしまうことも多く、雨水がせき止められて外壁へ溢れ出し、雨漏りに繋がることがあります。
どちらの場合でも、雨水が入り込みルーフィングも通過してしまうと、野地板に雨水が染み込み、腐食やカビの原因となります。
そうならないように定期的なメンテナンスが大切です。
■外壁からの雨漏り
意外と多いのが外壁からの雨漏りです。
原因としては、経年劣化や大きな地震などの影響でクラック(ひび)が入ってしまうケースや、塗装が?がれてしまうことによる防水機能の低下などが挙げられます。
また、住宅の外壁に採用されることが多いサイディングは、目地や窓枠の周囲などの隙間を樹脂系の充填剤「コーキング」で埋めて施工します。
コーキングは紫外線や雨風に晒されることにより10年程度で劣化するといわれ、劣化により生じた隙間から雨水が侵入する可能性があります。
定期的に、古いコーキングを剥がして打ち直しを行うよう心がけましょう。
一方、不要な箇所にコーキングを打ってしまうことで雨水が流れない、1ヶ所に溜まってしまうといったケースもあります。
その場合は、コーキングを剥がすことで解決します。
■ベランダやバルコニーもチェックが必要
ベランダやバルコニーで雨漏りが発生する原因として多いのが、床面の劣化です。
風雨や太陽の光に晒され続けることで防水シートや防水塗装が劣化してしまうケースが多く、クラックや表層が?がれてしまうこともあります。
その他、ドレン(排水口)にごみが詰まってしまう、壁面にクラックが入ってしまう、手すりの上を覆っている笠木が浮いたり、錆びたりしてしまった場合も、雨漏りの原因となります。
ウッドデッキをひいていたり、植木鉢などの物を置いていると掃除もしづらく、床面の負担も大きくなりますので、定期的なチェックが必要です。
■窓などの開口部からも雨漏りのリスクがあります
大きな窓がたくさんある家は自然の光や風を取り入れやすく、気持ちよく過ごせるでしょう。
しかし窓の数が多いほど、窓と壁の隙間を埋めるために使用したコーキングの劣化が進み隙間が生じたり、窓のまわりにヒビが入ったりと、雨漏りのリスクが高まります。
特に、窓の下部にヒビが入った場合はサッシの枠に溜まった雨水が伝ってヒビの中に侵入しやすく、注意が必要です。
また、天窓は日照条件が思わしくない家でも自然光を取り込みやすく魅力的ですが、屋根に穴を開けることになり、雨漏りのリスクは高くなります。
コーキングのひび割れなど、経年劣化によるケースが多く、注意が必要です。
■新築時の施工不良や自然災害が原因の雨漏りの対処
新築時の施工不良により雨漏りが起こるケースもあります。
住宅品確法により、新築住宅の売主や施工会社は、「構造上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」に対し、引き渡し時から10年間の瑕疵(かし)担保責任を負います。
つまり、施工不良により雨漏りが生じた際は、賠償責任や無償補修が義務付けられています。
もし、事業者が倒産している場合には、住宅瑕疵担保履行法に基づき、住宅瑕疵担保責任保険の適用を受けることができます。
こうした法律で定められた保証の他にも、施工会社が独自の保証制度を提供していることも多いので、住宅を購入する前にしっかり確認することをお勧めいたします。
また、自然災害が原因の場合は、加入されている火災保険の補償内容に「風災、雹(ひょう)災、雪災」が入っていると保証される可能性があります。
火災保険は保証内容をよく検討して加入しておくと良いと思います。
どんなに優れた住宅でも経年劣化は避けられません、しっかりメンテナンスをして長く良い状態の家を手に入れて頂ければと思います。