所有者不明土地解消の一環として、登記の住所変更登記が義務化されます。
登記義務違反には、5万円の罰金が設けられるようです。
住所変更登記の必要書類
登記されている住所から変更があった場合には、住民票を法務局へ提出して、住所の変更登記を行います。
原則は、住民票と定型の申請書があればOKです。
費用についても、不動産の数×1,000円ですので、それほど大変な手続きではありません。
ただし、長いこと住所変更登記を怠ってしまい、その間に何度か転居が重なっている場合には注意が必要です。
市区町村をまたぐ転居の場合、最新の住民票には、ひとつ前の住所しか記載されていません。
例えば、A市→B市→C市と転居した場合、現在のC市で取得した住民票には「B市から転居」としか記載されません。
過去にA市にいたことを証明するためには、B市でも「除かれた住民票」というものを取得する必要があります。
ただし、この「除かれた住民票」には保存期間があり、長期間経過していると記録が残っていないケースもあります。
住所変更がされていないことで発生したトラブル
今回のケースは、ご自身の住所変更登記ではなく、目の前の私道の名義がきちんと登記されていなかったケースのご相談です。
ご自宅の売却を検討し、改めて自宅や周辺の土地の登記を調べたところ、自宅の前の私道の名義が、知らない人の名義になっていたのです。
そしてその人の住所は、「〇〇村□番地」といった、今では存在しない地名のままになっていました。
自宅が無事に売れた場合でも、新たに買主となった方は、ガス管や水道管の掘削をするためには、前面道路の持ち主の承諾が必要になります。
ところが、その所有者の住所が今では全く不明のため、その相続人を追いかけることもできず、コンタクトをとることができないことが判明しました。
土地所有者と連絡が取れない場合の対処法
このような所有者不明土地を利用する場合の方法として、ひとつは裁判所に管理人を選んでもらう、という方法があります。
ただ、あくまでも管理人となる人なので、その土地を買い取ったり、市に寄付したりといった処分行為はできません。
また、この管理人を裁判所に選んでもらう手続き費用は、申立人の負担になります。
安くはない費用と煩雑な手続きが、住所変更を放置した本人とは関係ない人が負担することになってしまうのです。
不動産取引に与える影響
残念ながら今回のようなケースでは、売却をしようとしている土地が「前面道路の掘削承諾を取りにくい土地」という評価になってしまいます。
その結果、売却価格にマイナスの影響を与えてしまい、価格自体を下げなければいけないことになります。
ご自身の非は何もないのに、とても迷惑な話です。
こうした自体を避けるためにも、住所変更登記を義務化することで、不動産の所有者ときちんと把握できる制度が必要になるのかと思います。
建物や境界などの物理的なメンテナンスも資産価値の維持においては大切な要素ですが、登記記録が適切に管理されているか、という点も資産価値に影響する場合があります。
これから不動産の購入を検討される場合には、購入の対象土地建物だけでなく、周辺の権利関係についても確認をしたいところです。
ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。